はじめに

 飛鳥に統一国家ができる、ずっと前。
 50人くらいの人々が集まって暮らす集落があちこちに点在し、時には手を取り、時には敵対している、そんな時代。
 人々は、田を耕し、海や川で魚介を捕り、山や野原で獣を狩り、木の実を集めて暮らしていました。
 集落をまとめるのは、長(おさ)とおばばです。おばばとは、呪術でもって集落を守り、導いてくれる存在です。2人は、皆に尊敬され信頼されています。
 集落同士の交流もあり、物や情報交換のために集落を渡り歩く者もいました。
 着ているものは、高松塚古墳の壁画にあるような服です。カシュクールのようなブラウスと、裾の長いスカートを着ています。
 子孫を残すことの方が重要だったので、一夫一婦制ではありません。好きなときに、好きな相手と関係を持ちました。というと、男性は喜ぶかもしれませんが、違いますよ。最終決定権は、女性にあります。無理強いなどしたら、集落中の女たちから総スカンをくらいますからね。だから、女性の方は安心して読んでください。
 現代の感覚からすると、ちょっとびっくりするかもしれませんが、当時だって、恋をしています。人の感情は、今も大昔も同じです。
 大昔の恋物語、楽しんでいただければ幸いです。

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