源氏物語の和歌「六条御息所」

源氏17歳、六条御息所24歳(葵の上21歳)

 −咲く花に移るてふ名はつゝめども 折らで過ぎ憂き今朝の朝顔− いかゞすべき(光源氏)
 −朝霧の晴れ間も待たぬけしきにて 花に心をとめぬとぞ見る−(中将の君)
  「夕顔」の巻

源氏22歳、六条御息所29歳(葵の上26歳)

 −影をのみみたらし川のつれなきに 身の憂き程ぞいとゞ知らるゝ−(御息所)
  「葵」の巻

 −袖濡るゝこひぢとかつは知りながら 降り立つ田子の自らぞ憂き− 「山の井の水」もことわりに(御息所)
  『山の井の水』=悔しくぞ汲み初めてける浅ければ 袖のみ濡るる山の井の水 (古今六帖)
 −浅みにや人は降り立つ我が方は 身もそぼつまで深きこひぢを−(光源氏)
  「葵」の巻

 −嘆き侘び空に乱るゝ我が魂を 結びとゞめよしたがひのつま−(生霊・御息所)
  「葵」の巻

 −人の世をあはれと聞くも露けきに おくるゝ袖を思ひこそやれ−(御息所)
 −とまる身も消えしも同じ露の世に 心置くらん程ぞはなかき−(光源氏)
  「葵」の巻

源氏23歳、六条御息所30歳

 −神垣はしるしの杉もなき物を いかにまがへて折れる榊ぞ−(御息所)
 −乙女子が辺りと思へば榊葉の 香を懐かしみとめてこそ折れ−(光源氏)
  「賢木」の巻

 −暁の別れはいつも露けきを こは世に知らぬ秋の空かな−(光源氏)
 −おほかたの秋のあはれも悲しきに 鳴く音な添へそ野辺の松虫−(御息所)
  「賢木」の巻

 −そのかみを今日はかけじと忍ぶれど 心のうちに物ぞ悲しき−(御息所)独詠
  「賢木」の巻

 −振り捨てて今日は行くとも鈴鹿川 八十瀬の波に袖は濡れじや−(光源氏)
 −鈴鹿川八十瀬の浪にぬれぬれず 伊勢まで誰か思ひおこせむ−(御息所)
  「賢木」の巻

 −行く方を眺めもやらむこの秋は 逢坂山を霧な隔てそ−(光源氏)独詠
  「賢木」の巻



目次へ戻る inserted by FC2 system