源氏物語の和歌「明石の上」

源氏27〜28歳、明石入道の娘18〜19歳(紫の上19歳〜20歳)

 −思ふらむ心のほどや やよ如何に まだ見ぬ人の聞きか悩まむ−(明石入道の娘)
  「明石」の巻

 −睦言を語りあはせむ人もがな 憂き世の夢もなかば覚むやと−(光源氏)
 −明けぬ夜にやがてまどへる心には いづれを夢とわきて語らむ−(明石入道の娘)
  「明石」の巻

 −このたびは立ち別るとも藻鹽やく 煙は同じかたになびかむ−(光源氏)
 −かきつめて海士のたく藻の思ひにも 今はかひなき恨みだにせじ−(明石入道の娘)
  「明石」の巻

 −なほざりに頼めおくなる一言を つきせぬ音(ね)にやかけて忍ばむ−(明石入道の娘)
 −逢ふまでのかたみにちぎる中の緒の 調べはことに変わらざらなむ−(光源氏)
  「明石」の巻

 −うち捨てて立つも悲しき浦浪の 名残いかにと思ひやるかな−(光源氏)
 −年経つる苫屋も荒れてうき波の かへるかたにや身をたぐへまし−(明石入道の娘)
  「明石」の巻

 −寄る浪にたちかさねたる旅衣 しほどけしとや人のいとはん−(明石入道の娘)
 −かたみにぞ かふべかりける逢ふことの 日数(かず)隔てん中の衣を−(光源氏)
  「明石」の巻



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