光源氏17歳、夕顔19歳。すべて「夕顔」の巻。
−心あてにそれかとぞ見る白露の 光そへたる夕顔の花−(夕顔)
−寄りてこそそれかとも見めたそがれに ほのぼの見つる花の夕顔−(光源氏)
−優婆塞(うばそく)が行ふ道をしるべにて
来ん世も深き契り違ふな−(光源氏)
−さきの世の契り知らるゝ身の憂さに 行く末かねて頼みがたさよ−(夕顔)
−いにしへもかくやは人の惑ひけん 我がまだ知らぬしのゝめの道−
ならひ給へりや(光源氏)
−山の端の心も知らで行く月は うはの空にて影や絶えなん−
心細く(夕顔)
−夕霧に紐とく花は玉ぼこの たよりに見えし縁にこそありけれ−
露の光やいかに(光源氏)
−光ありと見し夕顔のうは露は たそかれ時のそら目なりけり−(夕顔)
−見し人の煙を雲と眺むれば 夕の空もむつましきかな−(光源氏)
−泣く泣くも今日は我が結ふ下紐を いづれの世にかとけて見るべき−(光源氏)